韓国に興味をもって留学してから考えるようになった日本と韓国の歴史や政治問題。
朝鮮の日本統治時代のことについては学校であまり習った記憶がない反面、韓国の人はしっかり学校で習っている部分です。
私もネットで情報収集したり勉強はするようになったのですが、本でもなにか読んでみたいなと思いこの本の読むことにしました。
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この本は、韓国人の旦那さんがいるアメリカ人の方が書いた本。在米の韓国人の方へ聞いた当時の話をまとめた本です。
義父の昔の話を楽しく聞いていたときに、それがすべて日本植民地時代だということに気付いたのが本を書くことになったきっかけだそう。
その時代の話であれば残虐な話が出てきそうなものなのに、ユーモアのある生活の話を話す姿が不思議で、当時のことをもっと知りたい、記録に残したいと思ったとのことです。
たしかに私も思っていたことですが、歴史の本ってどれもむずかしそうな感じ。大きな事件とか政治的にどうとかいう本は多いけど、当時の人の声を直接記したものってあんまりないらしいんです。
現代の人(当時生きていなかった人)の主観も入って書かれた本は考え方が偏りそうで読む気になれなかったんですが、これなら偏見とか無しに読めそう!とこれに決めました。
ネタばれはなしでざっくりとした感想をお伝えします。
知らなかった当時の朝鮮の人の生活
読み始めるとすごい読みやすいし、話の内容が新鮮でおもしろい。
実際に当時生きていた人の話だからリアルだし、ざっくりした歴史は知ってても当時の韓国人の「生活」を知る機会がなかっただけに本当に不思議でした。
日本に関係ないことでも、「当時の韓国の文化ってこうだったんだ」とか発見がたくさんあります。
51人以上の方にインタビューに協力してもらったらしいけど、話す人によって生き方や生活・性格も含めて多種多様でそれがまたおもしろい。
当時、朝鮮の人は日本のことをどう思っていたのか?
肝心の日本や日本人に対して当時の方がどう語るかについてですが、ほんとに人によって違うんだというのが一番大きな印象。
「日本人によくしてもらった、差別されたことないし全く同じに扱ってもらった」という人がいる反面、「あのときの痛みは忘れることができない」という人もいます。
日本人は「統治時代は日本人と韓国人はうまくやっていた」韓国人は「そんなのはウソだ」なんて意見が分かれたりしますが、この本を読むと一概には言えないのが事実なのかなと。
当時生きていた人の中でもこれだけ違うのであれば、今生きてるひとの中で意見がいろいろなのもしょうがないとも思います。
本の中ではたくさんの人数の方がお話してくれてるのですが、比較的「お金があった人」「頑固にならず日本(人)を受け入れて合わせれた人」がうまく生きれたのかなと印象いう印象。
その当時は日本人も同じだと思うのですが、国や天皇の考えに背くようなことがあれば逮捕されたり非国民として目をつけられたり、それが朝鮮人も同じようにされていたということです。
もちろんそれ以外にも人にめぐまれるかとか、運とか、努力とかの要素でも人生が左右されてるだんなぁという印象を受けましたが、それは今の時代でも変わらないですよね。それがなおさら不思議でした。
朝鮮人を苦しめたのは日本人だけではない
デモをしたり反日的思想を持っていたりで逮捕されるようなシーンが多く出てきたのですが、捕まえる警察は全員が日本人というわけではないことにビックリしました。
警察には日本人も朝鮮人もいて、朝鮮人を拷問するのを朝鮮人が担当するという描写もありました。それも結構ひどい拷問です。
当時朝鮮の人を苦しめていたのは必ずしも日本人ではなく、管理する側のひとは日本側について同じように国民を管理していたことがわかります。
戦時中の日本人国民と似ている部分がある
本を読み進めているうちに、なんだか全部知ってる話のような気がしてきたんです。(朝鮮の文化や風習などを除いて)
なぜかを考えてみると、戦時中の日本人の生活に似てるものが多いからそんな気がするんだろうと思いました。
天皇のために何か儀式的なことをしたり、非国民的な(反日的な)思想をもったり集まりを開けば逮捕されたり。。。
本の中にもそのことに触れている人もいました、「朝鮮人だからさせられてるわけではなくて日本人も同じだし、日本人だからって本心からそうしてるわけではない。」というようなことを。
このことは、特に現代の韓国人とかは知らないし考えてもみないことだろうと思います。当時の日本国民が同じように同じような理由で苦しんでたことまでなかなかわからないと思う。
もちろん全く同じではないと思います。自分の国のやり方に従うことと、突然始まった外国のやり方に合わせることは感覚的に違うはずです。
韓国人にも日本人にも読んでほしい本
歴史のことになってしまうと、韓国人も日本人もあつくなっちゃったりしますよね。
私もそうで、つい頑なになって韓国人の意見を受け入れられなかったりします。
でも私がこの本を読んで改めて思ったことは、韓国人の痛みは韓国人にしかわからないということ。
すべて韓国人の主張が正しいとかそういうことではなくて、同じ経験をしたことのない日本(人)にとっては知らない・理解できないことがたくさんあるし決めつけるのはよくないなあってこと。
いくら今の日韓の政治のことに不満があろうとも、その当時の人のリアルな声を知るというのは一番の勉強になると思うんです。それだけが事実だし。
日本人と韓国人はうまくやれていたし、日本はひどいことはしていなかった!
日本人にはひどいことばっかりされた、日本人は全員嫌で悪いやつだった!
果たしてそうかな?それが全てかな?一歩引いて落ち着いて、それが全てじゃないって少しでも思えたら、お互いもう少し歩み寄れるんじゃないかと思ったりするわけです。
ざっくりとした歴史的事実を元に勉強したり討論したりするのもいいけど、当時の人のリアルな声を知るのもいいと思います。
日韓の歴史のこと勉強してみたいな、むずかしいのは無理だけどちょっと知ってみたいなって思う人におすすめの一冊です。